ご 挨 拶

 このたび日本動物実験代替法学会第26回大会の大会長を仰せつかりました。第26回大会は「動物実験代替の基礎科学と新展開」のテーマで、平成25年12月19日(木)〜21日(土)の日程で京都テルサにて開催を予定しております。
 日本動物実験代替法学会は大学、企業や行政の研究者などから成り立っている日本学術会議の協力学術研究団体の一員です。各国の法律や指針だけでなく国際標準や国際指針にも採用されております3Rs(実験動物の苦痛軽減:Refinement、使用量の削減:Reduction、動物実験代替法の使用:Replacement)の促進、普及を目的とし、研究、開発、教育、調査等を行う学術団体です。この学会は2008年に東京で日本学術会議とともに大規模な世界大会(World Congress 6)を成功させ国際社会から高い評価を得ました。また、毎年の国内の学術集会には400〜500名の参加者が集い、最先端の研究成果が発表されます。さらに、JaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)が本学会とともにこの分野で研究活動および行政への提案を推進しています。
 動物実験代替法は当初化粧品で注目されましたが、医薬品、医療機器、一般化学物質等の安全性評価のためにその開発が必要であるとされ、OECD(経済協力開発機構)、ISO(国際標準化機構)、ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)等の国際機関でも多くの試験法が新たに提案されております。動物実験代替法の開発・バリデーションを促進するため、欧州ではECVAM(欧州代替法評価センター)が設立され、既に化粧品については一部の動物実験を除いて禁止されました。また、米国でもICCVAM(動物実験代替法に関する評価を行う複数省庁の合同委員会)が設立され、また具体的な動物実験代替法を評価するNICEATM(代替法評価に関する毒性学プログラム省庁間センター)によってより活発化されてきました。
 国際的な動物実験代替法の技術革新の流れは大きく、化学物質の安全性再評価と動物実験代替法の技術革新を求めた欧州のREACH(化学物質の登録、評価、認可および制限)規制は日本国内にも大きな波紋が及んでいます。先進国では安全性情報のない化学物質、一般の工業製品、医薬品、医療機器は製造・輸入・使用が出来なくなり、「安全性なくして市場なし」という段階にまで来ています。しかし、客観的な安全性評価法の開発は現実的に遅々として進んでいません。医薬品についても、優れた新薬をより早く患者のもとへ届けるために発足したICHの理念の一つに3Rsがあります。
 以上のように、我が日本におきましても更なる動物実験代替法の研究・開発に拍車がかかることが国際的に急務とされ、社会的にも動物実験代替法に関する日本で唯一の学術団体である本学会の重要性が認知されてきております。そのため会員数は年々増加の一途を辿っておりますが、本会の財政的基盤は極めて脆弱です。そこで貴社の本学会大会へのご支援を是非お願い申し上げます。
末筆ではございますが貴殿のますますのご発展を祈念しております。
敬具
第26回日本動物実験代替法学会大会長
今井 弘一 拝